2. チタンは錆びない

2. チタンは錆びない
チタンで作れば、メンテナンスフリー

▷ いつまでも錆びない金属、それがチタンです
最も身近な金属といえば・・・?いわずと知れた「鉄」ですよね? 鉄は、放っておくと錆びてぼろぼろになります。 錆びさせないために、油を塗ったり、塗装したり、さまざまな技術や工夫がなされてきました。 それでも、海辺などの厳しい環境では錆が浮いてきてしまいます。
あ~あ、いつまでも錆びない、いつまでも金属の光沢が続くものがあったらいいのにな~、何もしなくても錆びないものがあったらな~・・・ いや、ありますよ。それがチタンなんです。
チタンは実はきわめて活性な金属であり、酸素との結合力が強いんです。
よって、瞬時に表面に酸化皮膜を形成するのですが、それが極めて安定した不動態皮膜であり、酸素を通さないため、それ以上酸化しません。
特に海水中では白金に次ぐ耐食性を持ちます。また、表面に傷ができても瞬時に酸化皮膜が自己補修されるため、いつまでも耐食性が維持されます。
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耐食性は同じです。さーすがチタン!100年経っても、だい~じょ~ぶ~♪
▷ チタンとステンレスの比較
錆びないといえば、よく耳にするのはステンレスですよね。
そこで、耐食性において、チタンとステンレスを比較してみましょう。

ステンレスは、いろいろな種類がありますが、ごく大雑把に言ってしまえば、鉄にクロムとニッケルを混ぜた合金です。クロムなどが、表面に不動態皮膜を作り、これが内部を守るので錆びにくい金属となります。 ここまではチタンと同じですね。

ステンレスの不動態皮膜は酸によって破壊されることが多く、また、塩化物イオンによっても破壊されてしまいます。 この、塩化物イオンに対する耐食性が、チタンとステンレスの差です。(厳密にはそれだけではありませんが、ここではそういうことにしておいてください。)
また、ステンレスは合金であり、チタンは純金属、金属元素です。ここにもチタンとステンレスの耐食性の差が出る原因があります。 以下、実際に起こる現象を見てみましょう。

まず、塩化ナトリウム水溶液中における耐食性を比較してみましょう。(= 塩水 = 海水、とイメージしてください)
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濃度 (%)温度 (℃)チタンの腐食速度SUS304の腐食速度
10240.127mm/year 以下0.127 ~ 0.508mm/year
40240.127mm/year 以下0.127 ~ 0.508mm/year
101000.127mm/year 以下0.127 ~ 0.508mm/year
ただし、局部腐食あり
401000.127mm/year 以下0.127 ~ 0.508mm/year
ただし、局部腐食あり
ステンレスの不動態皮膜は酸素原子と塩化物イオンが置換しやすく、水に溶けやすい金属塩化物を生成してしまいます。そしてその部分の皮膜は水に溶けて失われてしまいます。また、水和性塩化物イオンの 半径は小さいため、表面皮膜の微細孔(皮膜が水に溶けて失われた部分です)を通りやすく、通ってしまえば錆びさせます。

このようにステンレスは塩化物イオンに対しては耐食性は高くないのです。
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スコップをチタンで作ったら・・・?

泥だらけにしておいてもさびません。軽いので疲れません。土以外のものにも安心して使えます。
これに対し、 チタンの酸化皮膜は塩化物イオンに対しても安定であるため、塩化物溶液中でもきわめて高い耐食性を示します。 なお、還元性の酸(塩酸や硫酸など)にはチタンも腐食されますが、微量の酸化剤を添加することで安定します。この場合は、酸化剤の濃度に常に注意することが必要です。

そのほかにも、ステンレスには合金であるが故の腐食や不動態皮膜の弱さゆえの腐食を生じることがあります。

1. 溶接部付近
溶接部付近では加熱された場所に炭化クロムが析出し、その付近のクロム量が欠乏します。よってクロムに起因する不動態皮膜は形成されにくくなり、腐食されます。
これに対し、チタンは混ぜ物をして耐食性を付与しているわけではなく、チタンそれ自体が不動態皮膜を形成する物質なので、溶接によって耐食性が落ちることはありません 。(何も対策をしないで溶接すると、αケースを生成し溶接部付近の機械的性質が劣化しますが、これは別の話です。)

2. 隙間腐食、孔食、応力腐食割れ
ステンレスの表面に塩化物イオンが付着すると、上記のように不動態皮膜は破壊されるのですが、その部分に応力が加わっていた場合、金属組織の劣化に加えて不動態皮膜が不安定になった部分へ応力と 腐食が集中します(弱い部分に力が集中するということです)。その結果、腐食の形状は亀裂状になり、その先端にはますます応力が集中するため、亀裂が結晶流を貫く形で進行していきます。

さらに、亀裂部や隙間部においては、その中の水が容易には 入れ替わらないため、水中溶存酸素または水素イオンが新たに供給されにくく、その結果、隙間の内外で酸化剤の濃度に差が出ます。すると、隙間内外で酸化剤濃淡電池が形成され、それによりさらに塩化物 イオンが亀裂の外から泳動してきて、高濃度となっていきます。

亀裂はますます進行し、ひどいときには破壊に至ってしまいます。 少し前に、原子力発電所のステンレス製の溶接配管に、予想耐用年数よりずいぶん前に割れが入る事故が何件か起こっています。
チタンの酸化皮膜は塩化物イオンに対しても安定であるため、常温では隙間腐食や孔食、応力腐食割れについてはほぼ安心です。

3. 冷間加工による耐食性劣化
冷間加工をしたステンレスに腐食が発生しやすいことは事実として認められますが、残念ながらその理由は明らかにはなっていません。が、冷間加工によって起こる不動態皮膜の破壊が何らかの原因で再生し切れなかったところに粒界すべりや粒界へのひずみ集中などが影響を及ぼすことが考えられますし、そのほか、細かなクラック等もその原因になると思われます。

チタンは純金属であり、不動態皮膜も強固で あるため、粒界すべり等が耐食性に影響を及ぼすものではなく、また、チタンの場合、常温下でクラックが塩化物イオンに対する耐食性に影響しないことは既にわかっています。
▷ チタンの持つ錆びない金属と他の特性を合わせたの用途は多岐
チタンは錆びない特性の他に、 軽い強い耐熱性美しい金属アレルギー反応がでないリサイクル可能 等様々な特性があります。メンテナンスにも手がかからないチタン素材のものは、そのものの特性と組み合わせた時、とても多岐に渡ります。

屋外の設備、建物
雨や海水あたっても、錆びないことから、チタンは、屋外での施設や設備にとても優れています。 屋根や壁、橋やトンネル等から、特にメンテナンスがかからないので配管や手すりなどインフラな設備にとても適しています。また、オブジェやモニュメントもチタンで作れば強く、見栄えも高級感がでるものになります。

乗り物
ほとんどの乗り物は屋外で使用されますので、錆びない耐食性と耐久性合わせた環境に、チタンは適しています。自動車はもちろん、飛行機や自転車、船から宇宙船の各部品製品に、強さと軽さ、耐食性からチタンは適した素材です。

装飾品
錆びない、冷たくない、軽い、綺麗な理由から、チタンは装飾品として活用できます。身体に身につける装飾品が、錆びて台無しになったり、身体に悪影響を与えるものになっては大変です。またアレルギー反応が起こらないので、指輪やネックレス、イヤリング等など体に直接つけれるものでも安心して身につけれます。
▷ チタン製品例
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錆びない特性、耐久性からチタンを選び製作した、海洋関連部品です。

名取製作所で製作したチタンを使った加工品は、自動車部品からスポーツ用品、福祉用具など幅広く製作しています。
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3. チタンは環境に優しい

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